少し日が空いてしまいましたが、先日の幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2026」に参加してきました。
去年も参加していたのですが、そのときは日帰りだったため、初日の午後数時間しか見て回ることができませんでした。
今年は前日入りして2泊3日と余裕を持たせたことに加え、登録開始日にセッション予約も済ませたため、見たかったセッションをほぼ希望通りに見て回ることができました。
【基調講演・スペシャルセッションについて】
まずは、今回の前日入りの目的でもあった基調講演から。
基調講演のテーマは、AWSの進化とフライホイールの重要性についてでした。
成長のためには自社の中にフライホイールを持つことが重要で、AIエージェントはそのフライホイールを回すための原動力になると内容でした。
正直な感想を言うと、これは去年のre:Inventや今年参加したパートナー向けのサミットでも聞いた話と同じような内容に感じました。
そのため、「AIエージェントをどう作り、どう活用し、どう回していくか」という内容は、あまり新しい話とは思えず、むしろ「当たり前の前提」といった印象を受けました。
新サービスの発表などもありましたが、既存のサービスをより使いやすくした物、AIエージェントに必要な物の強化サービスといった内容の物が大半でした。
その中で気になったサービスは、「Amazon Bedrock AgentCore Managed Harness」と「Amazon Bedrock Knowledge Bases」でした。
どちらもAIエージェントに関連する物ですが、手軽にAIエージェントを作成し、さらに社内に存在するいろいろな形式のデータを一つにまとめ、AIエージェントで利用しやすくするこの二つの組み合わせを面白く感じました。
後日、実際に簡単な設定ではありますが、AWSコンソール上からハーネスをクイック作成し、ブラウザツールを付けた状態でプレイグラウンドで試してみましたが、ほぼ数回クリックして作っただけの物でしたがしっかりツールを使用し、情報の取得まで行ってくれました。
ハーネスを使用しなくても、プログラムコードを書いてAIエージェントを呼び出すといったことをさせることはできますが、手軽かつAWS側の設定だけで呼び出せ、ブラウザツールだけでなくAIエージェントのループも使用できるのは、かなり便利に感じました。
スペシャルセッションでは、レガシーシステムはコストとリスクが高く新しいビジネス要件への対応が難しいこと、AIによる自動レガシーモダナイゼーションがクラウド化のコストとリスクを軽減する可能性を持つこと、そして成功のためにはAIだけではなく開発者のスキルアップやテストの徹底、関係者との連携が欠かせないことが語られていました。
「AIはツールであり、その能力は使う人の能力によって制限される」、「AIが生成したものであっても、最終的な責任はシステムを構築する人にある」という言葉は、当たり前のようで、あらためて言われるとハッとする内容でした。
【各種セッションについて】
今回聴講したセッションは、次の通りです。
- 技術的負債を競争力に変える:マイグレーション&モダナイゼーション
- AI 駆動は上流工程にこそ活きる-非エンジニアにこそ知ってほしい、AI 駆動開発ライフサイクルによる上流工程の変革
- Amazon S3 の非構造化データを Amazon SageMaker Catalog で AI-ready な資産に変換する
- パーソナライズでビジネス成長を実現するコンタクトセンターへ ― AI エージェントが顧客を知り、先回りする―
- 「勝手に広まる」人気 AI エージェントを爆速で作ろう!
- AWS Security Hub CSPM の成功・失敗体験
- ランサム危機を転機にーアスクルが加速させた AI-DLC
- 「 AI エージェントが店長になる日」-小売 DX 次の 10 年-
少々詰め込みすぎた感がありますが、興味を引かれるタイトルばかりだったのでつい・・・。
その中でも特に面白いと感じたセッションについてです。
パーソナライズでビジネス成長を実現するコンタクトセンターへ ― AI エージェントが顧客を知り、先回りする―
単純にAmazon Connectに関連するセッションという点とAIエージェントが先回りするというタイトルが気になり聴講しました。
昨年のre:Inventくらいまで、私はAmazon Connectをただの電話受付サービス、コールセンターサービス、お問い合わせチャットシステムといった感じに思っていました。
後日、実際にはそれだけではないことを知ったのですが、今回のセッションの内容は、さらにAIが顧客の行動や好みを学習し、商品を提案したり、キャンペーンを配信したりする仕組みがあることを知りました。
そして、「Amazon Connect」から「Amazon Connect Customer」と名前が変わっていることもこのセッションで初めて知りました。
内容としては、消費者の76%は、自分のことを解ってくれているところで購入を行いたいという調査結果があり、パーソナライズを行った企業の売上が10〜15%ほど上昇したというパーソナライゼーションの重要性とAmazon Connect Customerの役割についてでした。
通常、パーソナライズされた対応を行おうとした場合、購入履歴や各種情報を複数のシステムからデータを取得・統合し、そのデータを基にセグメント化や配信内容の設定を行う必要があります。
Amazon Connect Customerでは、こうした各種情報を統合して活用できる仕組みが用意されており、パーソナライズされた対応やキャンペーンを比較的実現しやすくなっている点が便利だと感じました。
そしてAIエージェントを活用して効果をもたらすということだけではなく、バラバラに散らばっている顧客情報を一カ所に集約し、AIエージェントが効率的に活用できるようにする仕組みにこそ大きな価値があるように思えました。
「勝手に広まる」人気 AI エージェントを爆速で作ろう!
AIエージェントの利用自体は増えているものの自分で構築する人はまだ少数派で、複雑なユースケースや独自要件では自社構築が必要になるという話がありました。
ビジネス上のユースケースの明確化、適切なツールの選定、UIの工夫、継続的な改善が重要とのことです。
「何でもAIエージェントで行い、それらをAIエージェント化する」という表現は、既に実践されている方もおり、私もやらなければと思わせるものでした。
AWS Security Hub CSPM の成功・失敗体験
このセッションを選択した理由は、私自身もSecurity Hub CSPMの抑制などの設定を行うことがあるのですが、他の方はどのような内容で設定を行っているのか、どのような失敗があり得るのかを知りたかったからです。
- 最初から全てを完璧に行うのではなく、長期的に継続して行うことが必要であり、各担当と連携し一つずつ対応を行いながら積み上げること。
- 積み上げた物をガイドライン化し、その後セキュリティ対応の自動化を行うこと。
- 通知が上がってきたから即対応を行うのではなく、内容や影響範囲、リスクなどを把握、理解した上で対応を行う必要があること。
内容としては、基本的な考えではありますが、最初から完璧を目指し、通知が上がるとすぐにどうにかしなければと焦ってしまう私には、落ち着いて作業を進めることの重要性を改めて再認識する良い機会となりました。
また、ガイドラインの作成やセキュリティ対応の自動化は、属人化の防止や運用負荷の軽減だけでなく、担当者が変わっても一定の品質でセキュリティ運用を継続できる体制作りにつながるという点も印象的でした。
そして、セッションの後半部分では、「AWSセキュリティ成熟度モデル」というものを知ることができました。
これは、段階的にセキュリティを改善していくためのモデルであり、最終的に自動化を行えるようになるまでの4段階に分けられた内容となっています。
闇雲に目につく物を手当たり次第に対応・対策するのではなく、段階的に行うことで優先順位を付け、最低限必要なことから始めて行き、そして全体から見た現在地を把握することができる作りになっています。
こういった公式の指針というか指標のような物の存在を知らなかったので、この成熟度モデルをベースに優先順位を付けた現実的なご提案に活用して行きたいと思います。
ランサム危機を転機に
今回のセッションの中で個人的に強く印象に残ったのが、この「ランサム危機を転機に」というアスクルの事例セッションでした。
ランサムウェア攻撃を受けてシステムを停止することになったが、それを機に社内システムの見直し、需要分析や世界情勢分析、顧客ニーズ予測といった複雑なプロセスの自動化などの様々な部分にAI-DLCを取り入れ、従来数週間かかっていた分析を短時間で終えられるようにしたという話でした。
被害を受けたことをただの不運で終わらせず、ゼロから業務を見直すチャンスとして前向きに捉えていたという姿勢が素直に凄いと思いました。
また、AIをただの効率化ツールではなく「強力な経営パートナー」として捉えるという言い方をしていたのも印象的でした。
【エキスポブースについて】
セッションの合間にエキスポブースも見て回りました。
印象に残ったのは、今までのイベントでは少なかったフィジカルAIに関連する展示が多かった点です。
デジタル空間でのAIエージェントの話だけではなく、現実世界でAIを使って何をするのかといった方向に移ってきていると感じました。
また、セキュリティ関連サービスにAIを絡めた物、データの可視化に関する物も多く、こういった物が現在需要が高いのだろうとも感じました。
【今回参加しての感想】
基調講演、スペシャルセッション、各種セッションなど、私が見て回れたものに関する内容は、ほぼ次のどれかに当てはまっていました。
- AIエージェントの活用方法
- AIエージェント用データの整備
- AI-DLC(AI-Driven Development Lifecycle)
- Amazon Bedrock、Amazon Bedrock AgentCore、AWS Transformについて
- AIで作業効率を上げ、プロトタイプを作ってとにかくデプロイし、運用しながら改善を繰り返す
- AIを使って仕様検討や開発期間を短縮する
- とにかくスピード感を持って回していく
正直なところ、去年のre:Inventだけでなく、今年参加したパートナー向けのサミットなどでも同じように言われていた内容が多く、目新しさという意味ではそれほど驚きはありませんでした。
新サービスの発表ももちろんあったのですが、大半は既存サービスをより使いやすくしたものや、AIエージェントに必要な機能を強化したものという印象です。
全体的な感想としては、新しいサービスの発表を除けば、社内で普段言われていることと大きな違いは感じられませんでした。
強いて言うなら、「AIを使ってスピードを上げて回していく」というのは、もはや世の中的にも当たり前の前提になっているんだろうなということを再認識したといった感じです。
ただ、アスクルの事例のような現場のリアルな話は素直に面白く、話としての説得力がありました。
目新しい情報が少なかったからこそ、逆に「みんな同じ方向に進んでいる」という確認ができたイベントだったというのが今回の感想です。
あと、個人的なことになりますが、「2026 Japan All AWS Certifications Engineers 受賞者」に名を連ねることができました。

来年も名を連ねるためには、現時点でAIPの資格が必要となるため、今年も試験勉強が必要です・・・。
【次回参加時用のメモ】
最後に、次回以降のために覚えておきたい点をまとめておきます。
同じようにAWS Summitへの参加を考えている方の参考になれば嬉しいです。
基調講演・スペシャルセッションは、生で見られないなら配信で十分
基調講演はメインステージで問題なく見られましたが、スペシャルセッションについては、午前9時前にチケットが上限に達し、ストリーミング配信スペースに誘導されました。
誘導された先ではスクリーンが見づらく撮影もできない上に、配信スペースにいながらスマホでWEBのライブ配信を見る、という状況に。
遅延の少なさで言うと「メインステージ(生)>スマホのライブ配信>ストリーミング配信スペース」の順で、生で見られないなら素直にホテルなどでライブ配信を見たほうが快適だと思います。
セッション資料は後からダウンロードできるので、撮影にこだわらなくていい
セッションのスクリーンをスマホで撮影していたのですが、後から資料をダウンロードできるページがあることを知りました。
最初から知っていれば、登壇者の話にもっと集中できたと後悔しています。
ただし、基調講演とスペシャルセッションだけは資料が公開されないので要注意です。
セッション開始前に同時通訳機器の動作確認をしておく
基調講演で、私の席の同時通訳機器の電源が入らず、英語の翻訳を聞けないというトラブルがありました。
サイレント形式ではなかったので自前のiPhoneとAirPodsでライブ翻訳を使ってなんとか内容は追えましたが、事前の動作確認は必須だと痛感しました。
お弁当配布券を使うなら、11時〜13時頃にセッションを入れない
先着5,000名のお弁当配布は時間制限があり、行列ができていました。
その時間帯にセッションを入れてしまうと、行列のためお弁当を受け取る前に次のセッション開始時間が来てしまい、泣く泣く列を離脱することになります。
「All AWS Certifications」と「全冠取得」は別物
今年は金のジャケットではなく金の扇子が全冠取得者向けの配布アイテムだったのですが、All AWS Certificationsの条件(全資格取得)と全冠取得の条件は微妙に異なっていました。
全冠取得には、All AWS Certificationsの対象外だった「AIP」という資格の取得も必要でした。
自前のイヤホンを持参する
会場入場時に同時通訳機器用のイヤホンがもらえますが、今年のものは耳にフィットしづらく、長時間つけていると痛くなってきました。
自前のイヤホンを使っている人を見かけたので、次からは私も持ち込もうと思います。
【商標について】
- Amazon Web Services、AWS、Amazon Bedrock、Amazon Connect、AWS Security Hub およびすべての関連ロゴは、米国その他の国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- iPhone、AirPods は、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
- その他、本記事に記載されている会社名、製品名、サービス名等は、各社の登録商標または商標です。